惑星工作部隊

ZANGAIN




惑星工作部隊 ZANGAIN
原作 鷲田雄三
制作 サブリナ プロダクション


あらすじ

2500年、国際宇宙科学機関により、惑星均衡理論の全貌が明らかになる。同時に地球と均衡理論上対になる惑星アルフェアスが太陽を挟む逆側に存在することが発見される。金星科学ステーションの調査の結果、アルフェアスには地球の水準にほぼ近い文明が展開していることが分る。ところが調査が進むにつれて、アルフェアスでのエネルギー利用は近い将来惑星均衡係数の限界を超えることがさらに明白となる。このままアルフェアスが均衡理論を無視したエネルギー利用を続けた場合、地球とアルフェアスとの惑星均衡は崩れ、相互の星は軌道上で衝突する。

対策本部は、調査班ZANGAINを潜入させアルフェアスの現状を詳細に調査させる。アルフェアス惑星人はある程度の科学発展は遂げたものの、惑星均衡理論の観点が全く理解できていないために、アルフェアス内での無限定な物理エネルギーの利用を拡大する傾向を止めることは出来ないと判明する。このままでは地球がアルフェスのために消滅してしまうのだ。

ZANGAINはアルフェアス惑星人になりすまし、無限定なエネルギー利用を行う組織の壊滅を謀る工作部隊となるように指令を受ける。彼らはアルフェスに生息する怪獣をコントロールしたり、地球からロボット怪獣を送り込んだりしながら、作戦を展開していく。主人公ジローは、アルフェアス惑星政府の防衛組織内で工作活動を行うため、隊員として潜り込むことに成功する。彼はやがてアルフェアス惑星人たちが無知で自己中心的であっても一面地球人とそっくりな人間性をも合わせ持っていることに気付く。彼は地球救済のための使命とアルフェアス惑星人への友情との間で苦しみながらも、アルフェアスに生息する怪獣らを操りながら作戦を展開して行く。

手始めに、スパイラドン、キュビズマーといった強力な怪獣を用いて、アルフェアスの重要なエネルギー拠点を壊滅させて行ったZANGAINたちだったが、アルゴルスを用いてエネルギー研究施設を攻撃した時、謎の巨大宇宙人がアルゴルスを倒してしまう。その後この宇宙人はおりおりZANGAINの破壊工作を阻みアルフェアス側を助けようとする。ZANGAINがENIGMANと呼ぶようになるこの宇宙人はたまたまアルフェアス付近に飛来したMM星雲人だったが、単純にZANGAINたちを宇宙の侵略者と判断しアルフェアスの為に戦う決意をかためたのである。かくしてZANGAINと惑星アルフェアスとの戦いが始まった。


デザイン資料

怪獣立体模型 PAGE(A) PAGE(B)

彩色立体模型


第一話 惑星潜入作戦 前編

発見された惑星アルフェアスの無制限なエネルギー利用を食い止めない限り、地球の滅亡が確実だという最終調査がまとめられる。ZANGAIN斑はそのまま惑星アルフェアスに潜伏して、アルフェアスのエネルギー機構を攻撃する任務につくこととなる。ZANGAINチーフのスミス博士の調査で、アルフェアスにはアルフェアス惑星人も気付いていない多くの巨大生命が生息していることが分かり、それをコントロールして各拠点を攻撃する計画が考えられる。




第二話 惑星潜入作戦 後編

生命交信誘導波を用いて、地底に生息するスパイラドンとアルフェアスの衛星に住むキュビズマーをコントロールすることに成功したスミス博士は、まずスパイラドンを操って山岳地帯の巨大発電施設の破壊を行う計画をたてる。全身をドリル状の甲羅でかためたスパイラドンは地中を自由に移動し、巨大ダムを破壊してしまう。さらにアルフェアスの大都市にはキュビズマーが来襲する。キュビズマーは都市に供給される電力を上空で吸収し、強力な破壊電波に変えて発信する。キュビズマーが飛来した都市部では、受信機器が不可解な映像や音響を流しはじめ、それらは爆発を起こす。被害は拡大しついには巨大放送施設がキュビズマーにより爆破される。やがて都市部は火の海と化す。ところが、急激に電力を吸収し過ぎたキュビズマー自身が上空で爆発してしまう。それでも、スミス博士は作戦は一応の成功を収めたと地球に報告し、最初の作戦の完了をZANGAINらに告げる。スパイラドンはコントロールを解かれ地底に帰って行く。

登場怪獣
地底怪獣 スパイラドン
電波怪獣 キュビズマー



解説
怪獣がダムを破壊するシーンは過去の名作で幾度か描かれたものだが、スパイラドンの破壊シーンはそのオマージュとして描かれている。キュビズマーが上空で爆発を起こし燃えながらゆっくりと落下していく光景は、明らかにヒンデンブルク炎上の映像が下敷きになっている。


第三話 幻想都市の赤い石

登場怪獣
色彩怪獣 サイケデリクロン



第四話 予期せぬ強敵現わる

サイケデリクロンとの戦いで、これまでの怪獣の襲撃が惑星外組織の意図だとついに気付いたアルフェアス政府は、アルフェアス防衛軍を組織する。だが、地球本部はアルフェアスの科学水準が地球よりかなり低いことを理由に、大きな対策を取る必要はないとZANGAINらに伝えてくる。小型化された生命交信誘導装置を持ち歩き怪獣をコントロールすることが可能となり、工作員ジローは潜伏しながら、全身から大量のアルコールをまき散らすアルゴルスを操り、主要都市を炎上破壊させていく。アルフェアスの諜報部は生命交信誘導装置の電波をキャッチし発信位置を確認しながら追跡してくる為、ジローは常に移動しながらアルゴルスに指令を送らなければならないことになる。諜報部の追手が迫る中、ジローがついに政府の要人らがかくまわれているシェルターの破壊に成功しようとした時、巨大な銀色の戦士が出現しアルゴルスを倒してしまう。あっけにとられるジローだったが、ZANGAIN斑は追手にとらえられる寸前のジローのピックアップにかろうじて成功する。アルフェアス側にあのような戦力があるはずはないとテーブルを叩くスミス博士。

登場怪獣

火炎怪獣 アルゴルス



ENIGMAN (ENIGMA SEVEN)


解説
全身からアルコールを噴出し一瞬の内に回りの空間を火の海にしてしまうアルゴルスだが、自らの体内のアルコールに酔っぱらって、生命交信誘導装置の指令が伝わらない事態が頻繁におこりジローの危機の原因となる。「酔っぱらってるのか!アルゴルス」と拳を握るジロー。


第五話 深海輸送網壊滅作戦

潜水艦を用いてウランの輸送を行っている国家間の取引に注目したスミス博士は、このラインの壊滅を目論み、海洋生命体であるキュバリオンの幼生に潜水艦を襲撃させる。キュバリオン幼生は潜水艦の表面に張り付いて穴を開けて沈没させてしまう。ところが海水流入で潜水艦内部に起こったショートにより、スミス博士の予測以上に成長が早まったキュバリオン一体が湾岸都市に向かう。海中で急激に成体になったキュバリオンをコントロールすることは難しいと判断したジローは、不必要な市民の殺戮を今回は避けた方がいいと判断してキュバリオンの襲撃を食い止める作戦に切り替える。ジローとヘレンは協力して生命交信誘導装置の配線を組み替え、キュバリオンの攻撃本能を下げる制御波を送るがうまく命中しない。ついに湾岸都市を破壊し始めるキュバリオン。その時、またあの銀色の巨人が現われキュバリオンと対決する。巨人がクロスさせた腕からビームが発せられ爆発するキュバリオン。巨人は「侵略は許さない」と超能力でジローの意識にメッセージを伝え夕日に向かって飛んでいく。

登場怪獣
密着怪獣 キュバリオン
ENIGMAN



解説
幼生のキュバリオンは吸盤状の本体を海中で回転させて高速移動し、張り付いた物の表面を中央の歯で噛み砕く。成長に従って吸盤面は頭部両腕両足に分割されていく。分割後も両腕は吸盤の特徴が残り翼のような機能を果たす。


第六話 偽装された友人

アルフェアスエネルギー会議が開催され化石燃料利用倍増計画が決議されるだろうことを察知した地球対策本部は、これを阻止する工作活動をZANGAINに指示する。重力を微妙に変化させることでその地域一帯に幻覚作用をもたらすエスペラドンを議会上空に停滞させ、集まった科学者らの判断力を低下させたスミス博士は、堂々と会場に現れ否決を主張し始める。エスペラドンの幻覚作用でスミス博士の主張をほとんどの会議メンバーが正しいと理解してしまうが、山岳地帯の原住民代表であるシーラ長老だけはスミス博士の偽りの論法を見抜いてしまう。シーラ長老はもともと空中浮遊の修行を積んだ人物なのでエスペラドンの重力効果の影響を受けなかったのだ。他の全てのメンバーが幻覚効果でもうろうとする中、スミス博士とシーラ長老の言論の戦いが延々と続く。やがてシーラ長老はスミス博士の主張が実は正しいことを理解する。その日エネルギー会議は計画の中止を決議する。

登場怪獣
幻覚怪獣 エスペラドン

解説
エスペラドンの幻覚効果を受けた議会メンバーらが見るスミス博士とシーラ長老の対決は、シュールな演出とアート感覚の映像処理によって表わされている。スミス博士の発信器から地球本部に流れる客観的な光景とパラレルに見せることで緊迫感とギャグとが結びついたユニークな映像として仕上がっている。


第七話 浮遊する楽園

エスペラドンが発した重力効果の影響を受けてゲームセンターの遊具のコンピューターが、組み込まれている残虐ゲームのストーリーを実現する使命があると考え始める。数日後機械はロボット兵器怪獣ゲムラに変貌し市民を無差別に攻撃しはじめる。ゲムラによるアルフェアス攻撃が地球側の利益に結びつかないと判断したZANGAINはアルフェアス政府に気付かれないように防衛軍の援護を行いゲムラを爆破する。

登場怪獣
ロボット兵器怪獣 ゲムラ



解説
ゲムラの本体から先端に銃がついたコードが無数に伸びて街路を縫って殺戮を繰り返す。殺戮した数をゲムラの背中にあるカウンターがはじき出していく。このカウンターを破壊することでゲムラの機能は停止する。


第八話 ラジオのような街

ゲムラに対するアルフェアス防衛軍の作戦を助けたジローは、その勇気を買われ防衛軍の隊員にスカウトされる。地球本部はこのチャンスを生かして諜報活動を行うようにジローに命じる。ジローと防衛軍の隊員との間に徐々に友情が芽生えるが、ジローは自分が実は彼らにとって裏切り者だということに苦悩する。そんな時、都市部電力拠点をシュルレアンが襲撃する。地球本部が強行に指示した電撃作戦であった。スミス博士はジローに防衛軍が壊滅する前に脱出できるルートを伝える。苦悩するジローだが、ついに本部の命令を無視して防衛軍の危機を救う行動に出てしまう。ジローの一発がシュルレアンの急所に命中し防衛軍は難を逃れる。「もっと深く潜入するためにはこのぐらいはやらないとダメですよ」と笑ってみせるジローに、激怒する地球本部司令。

登場怪獣
多面怪獣 シュルレアン



解説
シュルレアンの顔は常にゆっくりと変貌していて定まった形状が無いところがデザインのポイントである。


第九話 地底の怒り

登場怪獣
鋼鉄怪獣 アレグロン


第十話 暴走する惑星

登場怪獣
放電ロボット怪獣 カッパードギアー 



第十一話 異形の為の美術館

正確な図形が描けないと美術学校では肩身の狭い画学生ロミが拾ったペンは、地球本部がある計画に向けて送り込んできたロボット怪獣オートマチスのコントロール装置だった。装置を積んだ無人小型ロケットが大気圏突入に失敗して空中分解したために、ロミの家の近所に落下したのである。この装置は本来ペン先の動きを読み取ってオートマチスをコントロールするという画期的なものだった。そんなことはつゆも知らないロミが、学校での鬱憤を晴らすべく夜ごと意味不明の過激抽象デッサンに没頭したため、抑制回路が壊れてしまう。ロミの脳内で爆発する意味不明のアート世界は、最大ボルテージでオートマチスを操ってしまう。夜ごと都市部上空に出現するオートマチスは、伸ばしたマジックハンドで都市空間に向けてロミの過激なイメージを再現するのである。というか、単に闇雲な破壊を行う。

しばらくしてロミのデッサンをたまたま見た画商が全てを購入する。大金を得たロミは拾ったペンなど窓から捨ててしまう。それを見つけた発明少年が歯車の軸にしてしまう。都市上空に留まり一定の回転を続けるようになったオートマチスは簡単にアルフェアス防衛軍に爆破される。

登場怪獣
ロボット怪獣 オートマチス



第十二話 青いノートの記憶

アルフェアス政府中枢の余裕のない目的主義にこそ大きな問題があると考えたヘレンは、自然現象に音楽を融合させる能力のあるロボットオクタビオンを使って、政府要人らを脱力させることを考える。オクタビオンに最も緊張感を欠く音楽を発信させようと様々なレコードを集めたヘレンだが、その中からとりわけ脱力系の古い奇妙なLP盤を選択する。ヘレンはそれをオクタビオンのターンテーブルにセットする。オクタビオンは官庁上空に到達し、霧にその曲の微妙な震動を加えて気付かれないように街へと降り注ぐ。効果は官庁街から都市部全体に広がって行く。それまで能動的だった役人や市民たちが徐々に脱力していく。官庁街は機能が停止してしまう。「たまにこういう日を持った方がいいのよ」とヘレンが笑う。やがてけたたましい街の音響も消えてデリケートな霧の音楽が聞き取れるようになる。

ところが、なぜか街の至る所から不思議な旋律が流れ始めたことにヘレンは気付く。経済活動に不利益をもたらすとして政府に演奏の機会を与えられず、様々な仕事に従事していたその手の音楽家たちが、誰言うと無く再び楽器を手にし始めたのである。ほとんどの住民が脱力に向かう中、彼らだけは逆だった。数時間心地よい脱力サウンドと霧が街を包む。やがてオクタビオンの燃料が切れて環境は元に戻る。何事もなかったかのように再び働き出す市民たち。翌日ヘレンは、旧式のロボットであるオクタビオンは燃料を食いすぎるので使用禁止だという地球司令部からの通達を受け取る。

登場怪獣
音響ロボット怪獣 オクタビオン



解説
ヘレンを主人公にした戦いが全く出てこないコミカルタッチの一話。結局ヘレンの理想論も自分の属す組織の効率主義に敗北するというオチ。オクタビオンはターンテーブルと壊れた鍵盤楽器とフォーンが合成されたレトロチックなデザインである。しかし、使用禁止されるようなマシンをわざわざ地球から送ったことの理由が説明できないが、それを追求するのは野暮になるだろう。


第十三話 古い日記の女

ある日ヘレンは化石燃料を吸収して増殖するカビを発見する。ジローはこの生命体をうまく利用して不必要なアルフェアス惑星人の犠牲を出さない作戦が可能だと提案する。やがてヘレンとスミス博士はこのカビの細胞からさらに高度な植物生命グリーンオメガを完成させる。グリーンオメガの生息地域を拡大させることで化石燃料を減少させることが出来るというのだ。地球から送られてきたアンドロイドのミミィは、幻覚光線でアルフェアス市民を洗脳しグリーンオメガの緑化運動を推進するリーダーと成っていくが、やがて諜報部にマークされることになる。そんな中グリーンオメガが石油コンビナートから漏れ出た原油を吸収して巨大化し、植物怪獣ビリビラーとなり暴れ回る。この結果を全く予想していなかったZANGAINらはただ状況を見守ることしかできない。やがてアルフェアス防衛軍は最新兵器のアタックファイター01によって、なんとか自力でビリビラーをたおす。その後グリーンオメガの危険性がさけばれ、ミミィは窮地に追いやられる。アルフェアス諜報部はミミィがアンドロイドであることに気付きミミィを破壊する。ミミィの人工知能から地球側の存在が具体的にアルフェアス政府に伝わってしまう。

登場怪獣
幻想アンドロイド ミミィ
植物怪獣 ビリビラー



解説

ビリビラーは植物怪獣という割にデザインは動物的である。グリーンオメガとしての成長過程では首から上だけが地面から出ていて比較的植物的な相を見せる。地底深くの原油層まで根を張る生命特性に予期せぬ変移が起こり獣化したという強引な設定。


第十四話 古代都市化計画

「我々は与えられた物だけで生きられる」というエネルギー会議でのシーラ長老の発言が頭から離れないジローは、実はアルフェアス惑星の多くの地域では、全く化石燃料を用いない生活に不便を感じていないことに注目し始める。ジローとヘレンは、エネルギーを浪費する都市部での工作活動と合わせて、自然環境に合致した古代の都市計画を復活させ、都市部からの移住を誘導する計画を提案する。二人は地球本部に極力平和的な解決方法を模索するべきだと訴える。まず、実験的に砂や岩石を食べて粘土状の糞を出す穏和な性質の怪獣ストラクトンによって、砂漠の土壌改良が開始される。ところがストラクトンの生命活動に関わって思いもよらない問題が派生する。鉱物を分解する際にストラクトンは一般生命体の10万倍もの二酸化炭素を排出するのだ。そのため活動地域上空にオゾンホールが発生してしまったのだ。このままでは砂漠が緑化される以前にアルフェアスの環境全体が破壊されてしまうだろう。その事実を察知したENIGMANは、計画をZANGAINの侵略作戦だと決めつけストラクトンと戦う。ENIGMANの額から発せられたビームが逃げまどうストラクトンを絶命させる。

登場怪獣
化学怪獣 ストラクトン
ENIGMAN


第十五話 幻の湖を捜せ

長時間走り続けることで脳内分泌物質の効果を高めて、時空に拘束された今の自分を越える視点を得ることが出来ると信じる少女ベラは、実は500年前にアルフェアスに不時着したカマストラ星観測団の生き残りであった。500年間走り続けて超能力を最大に高めたベラは、大気圏外からの超越した視点を用いて、当時調査団が隠した電波レンズ怪獣パラレランが眠る湖を発見する。ベラはパラレランを使ってカマストラ星に救助信号を発信しようと考えていたのだ。ベラの念力によって湖底から出現するパラレラン。だが、ベラの念力は立ち止まってしまうと僅かの時間で衰退してしまう。そのため、ひたすら走り続けるベラなのだが、500年後のアルフェアスで乱れ飛ぶ電波の方がベラの発信する念力をやがて上回ってしまう。力尽きて路上に倒れるベラ。脳波を乱したパラレランは都市に出現し暴れ回る。例のごとくにアルフェアスの危機を察知して現れたENIGMANは、パラレランの電波ビームに苦戦しながらも勝利する。しかし、その直前まで再び立ち上がり走り続けていたベラの執念はついに届き、パラレランは倒される直前に救出信号をカマストラ星に向けて発信していた。数日後ベラを救出に来たカマストラ救助隊の円盤がアルフェアスの湖に密かに着水する。

登場怪獣
電波レンズ怪獣 パラレラン
ENIGMAN



第十六話 歴史科学研究所の謎

海底人の都市を発見したZANGAINは調査を開始する。驚くべきことに彼らは現在の文明を築いた地上人に侵略され海底に追いやられた先住の地上人だと判明する。現地上人は自分たちがこうした侵略を行ったことを全く忘れてしまっているようだが、実は現地上人の多くがこの問題に気付かないように、情報操作を行っている歴史科学研究所という組織が存在することが浮かび上がってくる。

そんなある日その研究所を海底人の長老が訪れる。「我々が現在海底に暮らすことについて地上人は正しい歴史認識を持つべきだ」という長老のメッセージを、研究所長らは聞き入れないばかりか、長老を不審者として政府組織に引き渡してしまう。その振る舞いに海底都市の守護神ガリアが怒りついに目覚める。ガリアは長老を取り戻しにアルフェアス都市を襲う。大津波と暴風雨によって大都市が水没していく。海底人の特殊部隊が長老を無事救出する。

登場怪獣
古代怪獣 ガリア



解説

後半ZANGAINは上空からガリアの活躍を見守るのみ。津波に襲われ都市が水没する特撮は映画「日本沈没」を意識して作られているようだ。


第十七話(欠番) カルメンSOS

未だに電波受信機による娯楽が主流のアルフェアスでは、毎晩行われる歌謡ダンスショーが人気を誇っている。ZANGAINらもこの放送を傍受しそれなりに楽しんでいた。そんなある日、機械体操のメダリストだったヤン隊員が二人組の女性ユニットが異星人だと言い出す。彼女らの動きはアルフェアスの重力と惑星人の筋肉構造から考えて不可能だというのだ。半信半疑のジローだったがヤン隊員に引っ張られて渋々放送局に潜入する。驚くべきことに放送局の一部はアルフェアスや地球の文明ではあり得ない高度な装置で満たされていた。やはりヤン隊員の言っていることは正しいようだ。ヤン隊員は通信記録が残っていると思われるチップを持ち帰る。

チップを分析したヘレンの口から驚くべき報告が告げられる。すでに異星人らは女性ユニットだけではなく、かなりのタレントをメディア内に送り込んでいるという。彼らを使って、徐々にアルフェアス惑星人のエロチック感覚を画一的で必要以上にとぎすまされた水準に引き上げて、最終的に統一された価値基準以外は排除する絶対主義社会を生み出すという恐るべき計画が進行していたのだ。これが最も簡単な侵略作戦というわけなのである。

異星人にアルフェアスが支配されることは、地球にとっても良い結果にはならないと判断したスミス博士は、生命交信誘導装置を改造して異星人のタレントたちをコントロールして番組をめちゃめちゃにしてしまう作戦に出る。その夜、あらゆる番組でふしだらな性的言動が乱れ飛び、あられもない格好で踊るタレントたち。パニック状態になるお茶の間・・・。ついに政府によって強制的に放送局の電力が遮断される。数日後発見された異星人の秘密基地がZANGAINらによって爆破される。

登場怪獣
エロチック遊星人 フェロモニク (A B)



解説
放送コードぎりぎりの台詞にライターの苦心の跡が伺われる。怪獣SFドラマ初のモザイク処理作品。その後この回のみ放送禁止となる。


第十八話 無限分岐点を突破せよ

登場怪獣
分解怪獣 リコンストラン


第十九話 殺しの楽園

ある日、異星人から「この星を楽園にしたいので訪問する」というメッセージが、お茶の間への電波に入り込み送られてくる。ギャグメッセンジャーという翻訳装置の効果で、アルフェアスの市民はすっかりブラザー遊星人を受け入れてしまう。市民たちの強い要求には逆らえず、アルフェアス政府は遊星人と友好条約を結ぶ。ところがその後、アルフェアスでは目的不明の惨殺事件が頻繁に起こるようになる。謎の暴力組織による犯行らしいのだが、政府はその実態をなかなか捉えることが出来ないでいる。残虐な大量殺戮は日ごとに拡大していく。

実は、この大量殺戮計画こそが、ブラザー遊星人の本来の目的だったのだが、アルフェアスの潜伏調査を任務としているZANGAINチームだけは、遊星人の計画の実態を把握していた。地球本部からの指示によりブラザー軍団を攻撃するZANGAIN。ブラザー遊星人はビート光線マシンガンで応戦する。正体不明の組織からの電撃作戦により、ついに軍団を失った遊星人は、ザドゥー1号を操って都市部全体の無差別殺戮作戦を開始する。遊星人は以前破壊されたゲムラのコンピューターを回収し、それを組み込んだザドゥー1号を準備していたのだ。巨大ビル群を刀で滅多切りにしていくザドゥー1号。やがて市街は血の海となる。その時、ENIGMANが現れザドゥー1号と戦う。惨殺ロボットはスペシャリウム光線によってついに破壊される。さらに、アルフェアスを脱出するブラザー遊星人の円盤をジローがエクストラホークで撃墜する。アルフェアスは意図が何にあったのか定かではない異星人による恐怖の計画から救われる。

登場怪獣

ブラザー遊星人
ENIGMAN
惨殺ロボット怪獣 ザドゥー1号



第二十話 知らぬ間の永遠

登場怪獣
光線怪獣 サブリミュラ



第二十一話 無計画作戦

眼ざめると自分の部屋が独立してアルフェアスを浮遊していることにヘレンは気付く。窓から見える光景は、街全体の俯瞰になったり、惑星人の巨大な眼だったり、機械装置の内部だったりする。どうやらヘレンの部屋は瞬間瞬間で大きさを変えて空間移動しているようだ。扉を開けると、ヘレンの部屋が突然消えてしまったことに気付いたジローは彼女を救出するために街へ出て行く。ジローにスミス博士から連絡が入り、惑星各所でグラバトロンによる空間変容が起こっていると分る。その直後ジローが乗っていたポインタックもヘレンの部屋と同じ状態になる。フロントガラスの向うで渦を巻き始める高層ビル群。スミス博士からの無線連絡は段々と内容が意味不明となる。司令室も同じ状況になっていたのだ。ジローはアルフェアスには、もはや自分たちの固有の定位置を決める空間構造が存在していないのだろうと直感する。どうすればいいのか思案するジローに、ヘレンとスミス博士がテレパシーで話しかけてくる。そんな能力があっただろうかと疑問を抱くジローだが、深く考えるなというスミス博士。

三人はそもそもグラバトロンがどこにいるのかが問題だとテレパシーで議論し始める。「アルフェアス全体で部分的な位置というものが無いのなら、その影響を与えるグラバトロンの位置も同じ条件にあるということになる。」とスミス博士が言う。「もしかしたらアルフェアスとグラバトロンは同じものになってるのでは?空間全体がひとつの場所になっているのでは?」とヘレン。「そうなると、我々三人が別の場所にいるというのはおかしくないか?」とジロー。「気付かないだけで同じ場所にいるのかもしれない?」とスミス博士。「いやすでに我々三人は同じ人間であり、この会話は自問自答なのではないか?」とジロー。「もしそうなら、三人だけというのはおかしい。アルフェアスの全ての生命がひとつの意識であるはずだ。」とヘレン。こうして議論が延々続く。部屋の窓では大きさと変形パターンがますます分らなくなった光景が脈絡無く切り替わっていく。やがて光景といういうより色彩と単純図形の高速変化になり内部と外部を隔てるものすら存在しない状態になる。聞き取れる音も三人の言葉なのか音響なのか区別が付かない。ついに三人の意識を含む全てがホワイトアウトしてしまう。

しばらくすると、再びZANGAINアジト研究室が現れる。機材の上に倒れ込んだスミス博士がいる。「どうやらグラバトロンは去ったらしいね」とスミス博士が起きあがりつぶやく。しかし全ては単にスミス博士の夢なのであった。

登場怪獣
反重力怪獣 グラバトロン



解説
グラバトロンという怪獣を設定していながら全くそれが登場しないというとんでもないストーリー。放送後怪獣ファンの怒りをかうことになる。シナリオも考え過ぎで何を言いたいのか意味不明だと酷評される。実は無計画作戦というタイトルはシナリオそのものを行き当たりばったりに書いたということらしい。それにしても、収まりがつかないとなると「夢でした」というオチでは、さすがにどうなのだろうか?


第二十二話 古代の叫び

古代遺跡の地下に巨大な原油層が在ることが分かり、アルフェアス政府はそれをくみ上げ直接エネルギー供給を行う夢の近代都市建設に着工する。遺跡の一部を壊し掘り進むと地中から巨大な石柱が見つかる。嵐の夜、何者かが与えた高圧電流によって石柱の下からディテラが出現する。地球本部はこれに乗じてディテラをコントロールして都市計画を中止させる作戦を立てる。ところが、生命交信誘導装置がうまく機能しない。遺跡の破壊を食い止めようとアルフェアス惑星人の天才科学者オランド教授もディテラに誘導波を送っていたのだ。ディテラを蘇らせたのもオランド教授だった。ところが、二つの誘導波に混乱したディテラが授業中の小学校に向かってしまう。すぐさまアルフェアス防衛軍にディテラ撃退の指令が下る。防衛軍に潜り込んでいるジローも隊員のハヤトと共にエクストラホークに乗り込み現場に向かうが、ディテラの発した冷凍光線を浴びてキリモミ状態になる。もうダメだと思ったその時、ホークはENIGMANの腕の中で救出されていた。ENIGMANはホークを地上に置いた後、ディテラを小学校から遠ざけスペシャリウム光線で爆破する。飛び散ったディテラの破片を拾ったスミス博士は我眼を疑う。ディテラの残骸の表面には、これまでアルフェアスで発見されている古代土器群と全く同じ形状が細かく形成されていたのである。

しばらくしてジローはハヤトにゆり動かされ眼をさます。「ENIGMANが助けてくれたよ」とハヤトが言う。ジローは気を失う瞬間に、コクピットにいたハヤトが光に包まれるのを見たような気もしたのだがその記憶は曖昧である。後日オランド教授はディテラを誘導したテロリストとして政府に逮捕されてれてしまう。ジローたちZANGAINにはそれをどうすることもできない。

登場怪獣
伝説怪獣 ディテラ
ENIGMAN


第二十三話 限定された無限都市

登場怪獣
異次元怪獣 イレンマ


第二十四話 生命ドーム

ある朝目覚めると自分がアルフェアス惑星人に成っていることに気付いた虫であるグレールは、農場のキャベツ以外の栄養源が必要だと自覚し都市部に向かう。グレールは商店の食材をかってに食い荒らしたために逮捕されそうになるがジローに助けられる。その時は子供だったはずのグレールが数日の間に成人してしまったのに驚き、「いったい君は何者だ」と問い詰めるジローを残し彼女は突然翼を広げ夜空へと飛び去る。刻々成長するグレールは惑星人以上の生命能力を獲得し始めていたのだ。

実はグレールだけではなく多くの虫からの変身生命たちがアルフェアス都市部に集結していたのだが、彼らはある夜いっせいに飛行能力を持つ生命体ザムザーに変身する。翌朝から上空を飛び交うザムザーの翼を通過した太陽光線は熱線となって都市部を破壊することになる。高速で飛行しているザムザーから偶発的に発せられる熱線が脈絡無く都市部各所を襲う。しかしマッハ20で飛行しているザムザーたちを追撃できる飛行兵器を持たないアルフェアス防衛軍にはなす術がない。

数日後ザムザーたちはある地点に集結し翼を広げてひとつの巨大なドームを形成する。防衛軍は即座にこれの攻撃へと転じるもののいかなるビームや爆撃弾によってもドームは破壊されない。ドームは太陽エネルギーや攻撃によるエネルギーをも吸収して成長しているのだと理解したアルフェアス対策本部は、全ての攻撃を中止し状況を見守ることにする。長閑な数日が過ぎたある日、巨大ドームに亀裂が走り一瞬にして表面は細かく砕け散る。ドームがあった場所に調査班が行ってみるとそこは見たこともない植物が生い茂る広大なジャングル地帯に変貌していた。後日アルフェアスの酸素濃度が一時的に0.5%上がっていたことが確認される。

登場怪獣
変身生命 ザムザー



解説
昨日まで虫だったのになぜグレールという名前がいきなりあるのかが疑問である。美少女に変身した手前それなりの名前がついてないとノリが悪いということだろうか。


第二十五話 アンドロイドパニック

登場怪獣
分身怪人 シーバラス



第二十六話 構築的な空

登場怪獣
共鳴怪獣 バラライガー

立体模型資料 (za03)


第二十七話 博士の無常なる愛情

ZANGAINチームはアルフェアスの或る島で異常な電磁エネルギー消費があることを確認した。島の調査に向かったヘレンとジローは、一人の科学者と出会い彼の研究所に宿泊するように勧められる。ところが、ふたりは連日不気味な夢にうなされる。数日が過ぎたある夜、寝苦しさに目が覚めたジローはヘレンが夜の海岸で奇妙なダンスを踊っているのを窓から目撃する。いきなり海に身を投げ出したヘレンを間一髪ジローが助ける。正気に返ったヘレンが言うには、「たった今まで、不気味なはずなのに魅惑的でもある怪生物が私を襲いそれと戦うのだけど、そこで起るどんな出来事も必ず私に都合が良いように展開するどこか心地よい世界にいた」というのである。数週間がそうして過ぎ去ったというのである。これは博士が何か仕掛けてるのではないかとふたりは研究所へ引き返すのだが、途中怪獣イドラの襲撃を受ける。「あの怪獣はやられても何度でも襲ってくるくせに私が思った通りにまたやられるのよ。」とヘレンが叫ぶ。ところが現実世界に現われたイドラにはそれが通じない。何とかイドラを交して研究室のドアを開けると、博士が強大な装置に頭を突っこみもがいている。博士はこの装置を用いてイドラをヘレンの意識に潜入させていたのだが、予定外の外的ショックを受けたヘレンの脳波エネルギーが装置側に逆流し博士の神経に致命傷を与えたのである。同時に装置の異常作動が発生、覚醒中のヘレンとジローの意識にもイドラが現われたのであるが、それほどの強いエネルギー消費のため装置はついに爆発してしまう。炎上する研究室。

登場怪獣
リビドー変移怪獣 イドラ



第二十八話 帰って来たのは誰だ

登場怪獣
衛星廃棄物怪獣 ミゴーン


第二十九話 (タイトル調査中)

登場怪獣
冷凍怪獣 アイラーギドラ


第三十話 ZANGAIN 対 ENIGMAN

ついにお互いの正体を分かり合ったジローとハヤトは、最早対話では解決できないことを理解せざるを得なくなる。殴り合いを始める二人をとめる防衛軍の仲間。その時、アルフェアス防衛軍基地をロボット怪獣ダダンが奇襲してくる。こうした攻撃には無防備だった基地は、為す術なく前線を突破されてしまう。ハヤトはENIGMANに変身しダダンと対決する。ダダンは、ZANGAINの意志とは無関係に、地球本部が直接送り込んできた最先端のロボット兵器なのだ。ダダンにはENIGMANの各種ビームも全く通じない。ダダンの容赦ない攻撃に絶体絶命となるENIGMAN。ジローはダダンをコントロールしているはずの地球側の人工衛星に向けて防衛基地に残された最後の惑星弾道ミサイルを発射する。人工衛星が爆破された瞬間、バタリとその場にダダンは倒れた。ミサイルを発射したのがジローであることをスミス博士は知っていたが、本部への報告は見送られた。

登場怪獣
ロボット怪獣 ダダン
ENIGMAN



第三十一話 さらばENIGMAN

ダダンとの戦いで負傷したハヤトが完全に回復しない内に、地球本部は地球から直接コントロール出来る新型のダダンUを再度送り込んできた。アルフェアス主要都市がダダンUによって次々に壊滅していく。さらに強力なダダンの前にアルフェアス防衛軍も戦力を失っていく。ハヤトは最後の力を振り絞ってENIGMANに変身しダダンと戦う。「やめろ、死んでしまうぞ」と叫ぶジロー。その声もむなしくENIGMANはついにダダンにやられてしまう。ENIGMANをたおしたことで地球本部はダダンを一旦引きあげる。ハヤトの亡きがらの前で沈黙する防衛軍の仲間たち。深夜、ジローだけが残った病室にMM星雲人のエージェントが現れる。ハヤトに対し、「君の役目は十分果たされた」と言って故郷MM星雲に帰還することをエージェントは命じる。夜空にオレンジ色の一筋の光が消えていく。MM星雲人の円盤である。「君にはもともと関係のない戦いだったんだよ」とつぶやくジロー。

登場怪獣
ロボット怪獣 ダダンU
ENIGMAN


第三十二話(最終回) 最終破壊作戦 X

スミス博士の異論を受け付けず地球本部は強硬路線を推し進める。本部はさらにもう一体のダダンを送り込みアルフェアス文明の壊滅作戦を開始する。二体のダダンが大都市を焦土に変えていく。アルフェアスの主要都市パリとニューヨークの攻撃を終えた二体のダダンはついに東京に再来する。このような作戦など侵略行為となんら変わらないと考えるジローとヘレンは、ZANGAINチームから完全に離脱してアルフェアス防衛軍側に従軍する決意を固める。

スミス博士と他のZANGAINらはダダンが迫る中、この地球本部の作戦に関わる重要な計算式の完成のためアジトを離れることが出来ずにいた。このままではスミス博士たちが危ない。ジローは生命交信誘導装置によって、未だ実態が把握されていない未知の怪獣スピリガーを呼び出し、これで戦うしかないと考える。ジローもZANGAINの誰もスピリガーがどのような生命体であるかを全く知らないのだが・・・。生命交信誘導装置によって一旦は呼び出されたスピリガーだったが、スピリガーの霊的エネルギーによって逆に生命交信誘導装置の方が破壊されてしまう。スミス博士のアジトの目前で二体のダダンとスピリガーの戦いが始まる。アジトが破壊される寸前もうだめだと思ったその時、ついにスミス博士の計算式が完成する。それはダダンを地球からコントロールする周波数がアルフェアスに及ぼす影響が、本部の判断より数段危険なことを証明するものだったのだ。そして、もし惑星アルフェアス自体が消失した場合は、惑星均衡理論上地球も同時に破壊される可能性が大きいのだ。その情報を受けた本部では、司令部の緊急会議が開かれる。その間もダダンとスピリガーの戦いが続く。アジトを脱出したスミス博士他全ZANGAINとジローとヘレンは合流し、焦土と化していく東京の光景を見守るしかなかった。スピリガーが挟み撃ちにあってこのままではやられてしまうというその時、突然二体のダダンの動きが停止し、そのままばたんと倒れた。「どうしたんだ?」と叫ぶジロー。スミス博士は「本部が攻撃を停止したのだ」とジローに説明する。スピリガーも光の渦となって静かに消えていく。スピリガーは過去と現在の生命全ての霊力が集まって出来た精霊怪獣だった。折れ曲がった東京タワーの残骸だけが焦土の真ん中に残されている。

数日後、二つの地球のこれからの体制を協議する最初の会議を開く提案が地球本部からスミス博士のもとに伝えられる。スミス博士は、ジローとヘレン、そして全ZANGAINらを伴ってアルフェアス(alpha-earth)防衛軍基地のタラップを降りる。

(完)

登場怪獣
ロボット怪獣 ダダンU(α β)
精霊怪獣 スピリガー



解説
サングラスにパイプをくわえて飛行艇から降りてくる最後のシーンでのスミス博士の出立ちが、これまでの科学者のそれからは意外であり実に印象深い。二つの地球同士の取り決めはその後どのように成ったのか、このドラマは全く予測を行わないまま、スミス博士の横顔を映してあっけなく終わる。

ダダンUの白黒のボディーカラーは、ある資料でのV2号のカラーリングを踏襲していると思われる。
スピリガーのデザインはポリネシアの神の形に影響を受けている。



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