PHIL MINTON TOKYO 7 DAYS 2004
3/15(mon)~3/22(mon)




東京七日計画

フィル ミントンとの何回かの旅で強く覚えていることは、なぜかその多くは街の通りでの出来事なのだ。彼は街を歩いている時も、そこで起こってる日常的な出来事に自然と繋がってしまって、歌ったり声を出したりしてる。彼にとって演奏と生活、ライブハウスと街とは同じ地平にあって一つの流れの中に、当たり前にあるだけなのかもしれない。

そんな感じの彼とは二度ほどソウルへ行ったのである。そこは現代都市と人間っぽい古くさい生活街が、キュビズムと対比効果でみごとに結ばれた不思議な魅力に満ちていた。僕らは演奏の前や後に、出来るだけ不可解で何かありそうな路地を見つけに街を歩き回った。そしてそれは本当にあった。そんな場所では、見るものも聞くものも映画の場面のようにどんどん感覚器官に入って来るのである。旅の後、そのいい感じの記憶などと無関係に過ぎ去る東京でのリアリティをやりぬきながら、再会の約束の3月が近づいて来ている。新たな旅の輪郭をあれこれ描いているうちに、僕はそこに否応無く生活している自分らにとっては、最も感じる能力を発動させ難い場所である<裸の東京>に行ってみようかという気になった。彼と行く場所としてそれが最も面白いんじゃないかなと思い始めたのだ。きっと、彼の感覚器官は、僕らが東京に対して背負ってるフィルターなどと無関係にリアルな東京の呼吸を掴み取るだろう。  [断片小説 JABROID]


フィル ミントン(voice)
八木橋司 (alto-sax)
佐藤行衛(elec-guitar)

with
ヒゴヒロシ(elec-bass)
イシデタクヤ(舞踏)
空・調・音・界(voice-unit)
モリシゲヤスムネ(cello)



2002/Binspark

3/15 (mon) 荻窪グッドマン
<ミューゼアムと時間の遅延する箱の間の17ヶ月間>
Phil Minton + 八木橋司 + 佐藤行衛



3/16 (tue) 高円寺 無力無善寺
<都市部荒野実存表現主義 Vol.8>
Phil Minton + 八木橋司 + 佐藤行衛



3/17 (wed) 中野富士見町 plan B
<即興アンサンブルと舞踏-黒いキューブ>
Phil Minton + 八木橋 + 佐藤 + イシデタクヤ(舞踏)

  

3/19 (fri) 国立 地球屋
< Another Earth for Music Practices >
Phil Minton + 八木橋司 + 佐藤行衛 + ヒゴヒロシ



3/20 (sat) 学芸大学 カオス
< BIO PROOF @ CHAOS /produce by Meki-Higon >
Phil Minton + 八木橋司 + 佐藤行衛 + ヒゴヒロシ



3/21 (sun) 渋谷 ルデコ
<声と装置 PHILとの2つの即興アンサンブル>
Phil Minton + 八木橋司 + 佐藤行衛 + モリシゲヤスムネ (vc)
Phil Minton + 空・調・音・界 (voice-unit)



PHIL MINTON VOICE-WORK-SHOP
3/22 (mon) 久我山 ハタホール
<多重音声だけが可能にする音響実験 Vol.2>

  


PHIL MINTON の印象
Jab-Y


2000/Binspark


フィル・ミントンのライブ演奏に接する多くの人は、彼の驚異的なテクニックに裏付けられたボイスによって生み出される不思議な音の空間に魅了されるだろう。それはいつも暖かく人間味にあふれている。時にはカラフルで美しい曲であったり、時には声のスピード自体であったり、時にはコミカルなキャラクターのようであったり、時には恐ろしいほどの深みを創り上げたりするのである。こうした様々な姿で出現し、変幻自在に姿を変え、時に混在する生身の人間の声によって描かれるいくつもの像は、けしてひとつの強い主体へと結ばれることはなく、常に様々のままである。それは、数々の鳥がそれぞれ空中にわずかの間好きなようにとどまり、またそれぞれ好きな時に飛び去っていく光景のようでもある。また、もうひとつフィル・ミントンについて考えるのは、彼の表現の強度の基盤が、背景にあるダダ的とも言える否権威への姿勢にもあるのではないかということである。それはフィルのまわりにいつもただよう穏やかな雰囲気に含まれていると同時に、やはりフィルの表現の中核にある実存的な意志とも思えたのである。(もちろん、それはひとつのものなのだが。)この意志によってフィル・ミントンの音楽は、常に自由でラジカルであり、深くヒューマンであり続けて来たのかもしれない。


PHILMINTON VOICE-WORK-SHOP

フィルは来日ごとにワークショップを行なって来た。2002年JABREC主催のワークショップでは、即興演奏のコミュニケーションの問題を主軸に展開し、参加者は音によるメッセ−ジを即時的にやり取りする方法をまず体験した。フィルのワークショップは、ヴォイスや楽器の技術的な事柄には全く関わらないものだ。むしろ音楽のそうした側面からは離れ、最も自然な人間の表現である声を用いて、コミュニケーションの可能性の拡大を模索する実験といったものなのだ。2002年のワークショップでは、そうしたコミュニケーションの深まりは最大限に極まった。空間はやがて全員のヴォイスによって満たされた一つの大きな声の揺らぎである音の円盤に変貌し、なんとその円盤のラインに自分の耳と声帯が繋がってしまっているのだ。自分のメッセージ=声は音の円盤全体に導かれ、また発した声に反応して円盤は本当にデリケートに変容をおこなうのだ。それは大人数が声によって一体になることでしか起こりえない驚くべき音の空間だった。


PHIL MINTON VOICE-WORK-SHOP
3/22 (mon) 久我山 ハタホール
<多重音声だけが可能にする音響実験 Vol.2>


声の表現のみで行いますが、特別な技法は必要なく、あらゆるジャンルの表現者の参加が可能です。

2005PLAN




フィル・ミントンの活動の詳細とディスコグラフィーを掲載するサイト(英文)
http://www.shef.ac.uk/misc/rec/ps/efi/mminton.html




フィル ミントンへのインタヴュー
2002年10月のフィル ミントン3日韓ツアーの最終日、24日原美術館での公演の際の、美術館サイドのレポートとフィルミントンのインタビュー(HARA MUSEUM REVIEW no.059 から転載)


PRODUCE
Jabec Art Music
jab-am@luck.ocn.ne.jp

録音 Dejimah Sound System
協力 Austin Record