以下の記述はJASRACがターニングポイントに立ったと思われる2005年末以前のものです。
2006年現在、JASRACはJAZZ喫茶ライブハウスに関わる諸問題を適正化すべく改革方針を打ち出し、業界代表組織と協議中。


PRIMITIVE-DOUBT

<その4>

<著作権法附則14条撤廃後もJAZZ喫茶が受ける特別な徴収枠に関する素朴な疑問>

JAZZ喫茶が著作権侵害を行ってきたという根拠は、著作権法附則14条においての徴収対象となる条件を満たしているからですよね。多分レコード演奏を行う旨を宣伝したうえでの飲食をともなう営業が該当すると言う事だと推察。

これまで附則14条が規定する徴収対象に該当しないとされる飲食店は音楽を流しても徴収されなかったが、この14条が廃止(平成11年6月15日) されたことで、全ての飲食店が徴収の対象となった。

そうすると、その附則14条によってかつて存在した、JAZZ喫茶とその他のこれまで徴収されなかった一般の飲食店との区別は、附則14条撤廃後存在しない事になったのではないですか?

もしそうなら、今後JAZZ喫茶が包括契約で特別な料金徴収を受けなくてはならない根拠は何にあるのでしょうか?リクエストを受けるとかJAZZのレコードを聞かせますとか言う宣伝を行うとかでしょうか?であれば、それをやめれば、一般BGMの規定でOKなのではないでしょうか?

(↑)
この件がずっと頭を離れないんだなぁ。撤廃したんなら、JAZZ喫茶を区別する新たな附則条項が設けられてない場合は、区別はできないんじゃないんスカ?それはあるのかないのか?


追加調査

附則14条がJAZZ喫茶を徴収対象と規定する条件は以下でした。

「喫茶店その他客に飲食させる事業で、客に音楽を鑑賞させることを営業の内容とする旨を広告し、または客に音楽を鑑賞させるための特別の設備を設けているもの」

そもそも、「客に音楽を鑑賞させるための特別の設備」とは具体的にどのような設備を言うのか。極めて曖昧な表現だと言える。アメリカの著作権法を見たんだけど、こういった対象となる営業を大きく左右する重大な規定を行う場合は、スピーカーの個数とか店内スペースの状況、駐車場のあるなしまで細かく規定されていた。こんな曖昧な条件の下で、飲食代金以外にはなんら特別な鑑賞料金もとっていないJAZZ喫茶に対して、それ以外の一般の飲食店と完全に区別しての徹底徴収を可能に出来るというのは、結局は法律自体に欠陥があったんじゃないの。

JASRACは、この法改正があった時点(1970年)から今日までに、JAZZ喫茶側に、なぜ、鑑賞料金を徴収していないにもかかわらず、「客に音楽を鑑賞させることを営業の内容とする」特定された飲食店にこれからはなってしまうのか、その説明を十分にしたのであろうか?たとえば、スピーカーに向けて客席を設けているとか、客からリクエストをとっているとか、音量を○○デシベル以上で出しているとか、そうなってしまう具体的な規定を説明したのだろうか。

こうした規定の提示がなければ、収益に関してはなんら一般の飲食店と条件が違わないのに、JAZZ喫茶だけが著作使用料を支払わなくてはならない意味を理解することは、自主的には非常に困難だと言わなくてはならない。なぜなら、一般的に考えて「客に音楽を鑑賞させることを営業の内容とする」とは飲食代金とは別に鑑賞料金を取る事を意味するからである。いや、料金を取らなくても聞かせているのだから該当するというのであれば、JAZZ喫茶以外の飲食店も該当してしまう可能性があり得ることは十分予想されたはずだ。それが証拠に附則14条はこの理由で撤廃されたのでしょうよ。よって、JASRACはこの区別を可能にする規定を何らかの形で附則14条が発令された時点で明示する義務があったことは疑いない。

その上で、法改正後は支払い義務が生じる営業形態をやめて、一般の飲食店と同じ形態に変更するか、支払いを行ってこれまでの営業形態を続けるかを、JAZZ喫茶側に選択をしてもらう必要があった。

以上を考えると、店側の認識にだけに問題があるとは到底言えないのではないか。JASRACは音楽著作権管理を司る国の関係組織である。そうである以上、この法改正にともなう急変を親身に経営者に説明し、理解をうながす重大な義務があったはずだ。この法改正の時点での、JASRACとJAZZ喫茶とのいきさつは全く国民に伝えられていないのだが、非常に重要な項目のはずだ。万が一こうした適切な過程(義務)を踏まずに、長期間営業をさせておいてから請求を行ったというのであれは、自らの営利のみを優先した計画的な戦略だと言われてもしかたないだろう。これは社会的に許される行為ではあるまい。はたして事実はどうなのか。勿論、書面一通送りましたよ、程度では世間は納得しないだろう。


追加調査 2

この件に関しての重要な情報を得ました。JAZZ喫茶が著作権使用料を支払う義務が生じた1970年当時、やはり多くのJAZZ喫茶が関わってその問題を討議していたらしいのです。で、支払うべきだとするグループとその必要は無いというグループに分かれての議論が当時のスイングジャーナルだったかに載っていたはずとの情報が! そのあたり何かないでしょうか。そのへんの資料持ってる方とか。

で、その議論が深まらないままズルズル行ってしまったというのがその方の印象だそうです。


著作権法附則14条とBGM使用料の件を簡略に説明するサイト
http://www002.upp.so-net.ne.jp/ysuzuki/topic/BGM20030614.html

http://www.cric.or.jp/qa/sodan/sodan5_qa.html

http://www.jasrac.or.jp/release/01/10_3.html